2021年8月29日 カテゴリー:医学情報
北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
北名古屋市でも連日コロナ感染の報告があがっていますが、早く日常に戻って欲しいですね。
当院では、受付後に自宅でウェブ問診をしていただくことで、発熱・風邪症状の患者さんに来院前に連絡をし、状態をより詳しく把握することで、院内・隔離室・駐車場と3カ所での診察に振り分けさせていただいております。
さて、最近保育園・幼稚園に通院中で発熱の子供さんに多いのが、夏風邪の一種である「ヘルパンギーナ」です。中耳炎で通院中に、鼻水・咳は落ち着いていたのに、突然発熱をして予定より早く再診されることが多くみられます。コロナウイルス 感染ではなく一安心ですが、やはり不安ですよね。
「ヘルパンギーナ」について少し解説します。
エンテロウイルスが、鼻や口などから体内に侵入し、血液中から全身に運ばれ、色々な症状を引き起こします。典型的には、突然発熱し、喉が痛くて食欲が減少します。熱性痙攣に注意が必要です。一般的には軽症ですが、時に食べれなくて脱水などで入院が必要になることもあります。
特徴としては、口の中ののどちんこの周囲と左右に赤い水疱(1〜2mm)が多数みられます。破れて潰瘍にもなります。
もしお子さんがかかってしまったら、一度懐中電灯で照らして口の中を見て、上記の特徴を知っておくと良いと思います。
治療としては、特効薬はなく、自分の体力・免疫力で自然治癒を目指します。発熱は2、3日で下がることが多いです。のどの痛みなどで食欲が減少しますが、小さなお子さんは脱水にならないようにこまめに水分摂取を頑張ってください。一般的にはそれほど危険な感染症ではありません。
手指から口に接触感染や飛沫感染でうつりますので、予防としては手洗いが重要です。
感染後の登園については、インフルエンザのように決まった基準はありません。熱が下がって、食事が通常通り食べられるようになり、元気になれば登園可能です。ただし、便中へのウイルスの排泄は1ヶ月ほど持続しますので、オムツ交換は注意が必要です。登園許可証については、それぞれの幼稚園・保育園に必要かどうか尋ねてください。
2021年6月14日 カテゴリー:医学情報
北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
最近、暑くなってきましたね。
鼻血で受診されるお子さんが多くなってきました。
ご自身あるいはお子さんが鼻血の時、まずどのように行動されるでしょうか。
1上を向く
2寝て安静にする
3首を後ろにそらしてトントンする
4鼻の付け根を押さえる
5ティッシュを詰める
これらの行動は、残念ながら全て間違いです。
1〜3は、出てきた鼻血が喉に流れ込んでしまいます。吐き出せればまだ良いですが、万が一大量に飲み込んでしまうと、胃に溜まった血液によって気分が悪くなり、後で嘔吐する場合があります。
4は、鼻の付け根には鼻骨があり、いくら圧迫しても骨を押さえているだけで、出血部位には何も作用していません。
5は、ティッシュで血液を吸うことはできるかもしれませんが、反対にティッシュによって鼻粘膜に傷がついてしまい逆効果となることがあります。
では「鼻血が出た時」どうすれば良いでしょうか?
鼻血の約80%ほどは、鼻中隔の前下方の粘膜部から出ています。キーゼルバッハ部位と名前がついています。指で触れるくらいの範囲であり、子供の小さい指であればなおさら直接届いてしまいます。
つまり、下記のように鼻中隔の前下方を圧迫してください。
A.人差し指と親指で両方の鼻翼を押さえる方法
B.鼻血と同じ側の親指で鼻翼を内側の鼻中隔に圧迫し、手のひらを開いて、他の4本の指を出血と反対側のあごに当て挟む方法(母指圧迫止血法)
特にお子さんの場合は、Bの母指圧迫止血法をお勧めします。出血していない方の鼻が開いているので、圧迫している時も息苦しくないです。また、興奮して泣いていると血圧も高くなり、血が止まりにくくなりますので、落ち着かせて鼻を圧迫するようにしてください。
出血部位にもよりますが、コツは鼻翼を真横あるいはより顔側(本人の手前側)に圧迫してください。上手く出血点を押さえられれば、血の流出は止まり5〜10分程で止血できます。
2021年5月16日 カテゴリー:医学情報
北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
前回ブログ OTC医薬品って何?メリットとデメリット
さて今回は、花粉症治療に関わる費用についてのお話です。
以下は令和3年4月での診療報酬基準およびある薬局さんでの売値を参考にしています。
日時などいろいろな条件で細かい違いがありますのでご了承ください。
アレグラ(一般名フェキソフェナジン)について取り上げます。
①病院(耳鼻咽喉科)に初めて受診した場合(初診)
診察・処置・ネブライザー治療とアレグラ28日分処方 A.1350円(3割負担)
薬局での調剤料 B.アレグラ 約1400円
C.フェキソフェナジン 約1050円(*オーソライズドジェネリック)
合計 A+B 約2750円 または A+C 約2400円
②病院(耳鼻咽喉科)で引き続き同じ薬を処方された場合(再診)
診察・処置・ネブライザー治療とアレグラ28日分処方 D.710円(3割負担)
合計 D+B 約2110円 または D+C 約1760円
③薬局で直接購入した場合
E.アレグラ28日分 約3800円
F.フェキソフェナジン30日分 約3000円
さて、考察してみましょう。
アレグラ単剤内服で単純比較をしてみても、受診する方が経済的な負担は少ないです。
再診になればなおさらです。長期の内服が必要となると・・・明らかですね。
また、中等症・重症の方は、アレルギー薬2剤あるいは点鼻薬など、単剤では症状をコントロールできない可能性が高いです。その場合、受診による診察代は、処方箋料が若干変わりますが、病院でのお支払いはそれほど多くは増えません。薬局での調剤料が増えますが、もちろん3割負担です。直接薬局で複数の薬を購入する場合は、さらに差はひらくと思われます。
軽症でも時間の取れる方・中等症・重症の方は、耳鼻咽喉科受診による治療をお勧めいたします。
政府は医療費の削減のためにOTCを増やそうとしているようです。
国家財政を考えると・・・医療費の削減は必要ですが・・・
個人の家計を考えると・・・
上記は、あくまでも耳鼻咽喉科専門医の私見です。
状況・状態により薬局での直接購入とうまく使い分けていただくと良いと思います。
*オーソライズドジェネリックとは
概ね薬の原料・添加剤・製造方法が先発薬と同じ薬です。つまり名前の違う先発薬です。
**先発薬とは、開発した製薬会社が最初に発売したオリジナルの薬です。
***いわゆるジェネリック薬は、薬の主原料が同じものです。添加剤・製造方法は異なります。
2021年4月30日 カテゴリー:医学情報
北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
みなさんはOTCという言葉を聞いたことがありますか?
OTC(Over The Counter)カウンター越しという意味で、カウンター越しにお薬を販売していたことに由来しています。医師の処方箋がなくても薬局などで購入できるお薬です。ただし、薬局で薬剤師さんの問診を受ける必要がある薬もあります。
そして沢山あるOTC医薬品の中に、病院で処方されるのと同じ成分・同じ容量の薬もいくつかあります。
具体的に挙げると、花粉症の時に内服する薬でも、アレグラ・アレジオン・クラリチン・タリオン・ジルテック・フルナーゼ点鼻薬はOTCがあります。
ここで考えてみましょう。
以下はアレルギー性鼻炎・花粉症治療についての耳鼻咽喉科専門医の意見です。
同じ薬ならば・・・
①病院にかかって処方箋をもらって薬局に行って薬を手に入れる
②薬局で直接購入する
手間と時間が大分違いそうですね。
①病院(耳鼻咽喉科)にかかるメリット
・鼻内の状態を診察し、重症度に応じてお薬の強さ・量などを処方してもらえる
・薬の選択肢が多い(強めの抗アレルギー薬は、まだOTCには少ないです)
・健康保険で3割負担(あるいはそれ以下)で単価は安くなり、経済的負担が少ない
・ネブライザー療法など他の治療も受けられる
病院(耳鼻咽喉科)にかかるデメリット
・何と言っても手間・時間が掛かる
②OTC医薬品のメリット
・手軽に入手できる(すぐに内服したい時にはとても助かりますね)
・薬剤師さんに相談できる
OTCのデメリット
・単価が高い(長期や複数内服する場合は、より経済的な負担に差が生じます)
・薬の種類が少ない
みなさんはどうされていますか?
アレルギー性鼻炎の場合、上記をふまえて考えると、
A.鼻の症状の原因がわからない
→まず耳鼻咽喉科受診を勧めます。どんな病気か診断が必要です。
B.ある程度原因がわかっているが、急に発症して辛くてすぐにどうにかしたい
→ OTC医薬品を緊急的に使用し、時間ができれば耳鼻咽喉科を受診する
C.ある程度原因はわかっていて、短期間で症状が終わると予測される
→OTC医薬品でも良いかもしれません。
D.時間的な問題はない
→耳鼻咽喉科に受診し、個々人にあった処方薬を内服する
E.アレルギー性鼻炎の症状が長期である・重症である
→耳鼻咽喉科受診を勧めます
F.スギ・ダニのアレルギーの体質を変えたい(根治治療の可能性を希望)
→耳鼻咽喉科を受診し、舌下免疫療法を勧めます
いかがでしたか。
次回のブログは具体的な費用についてお伝えします。
GWになりスギ・ヒノキは終わりました。
イネ科のカモガヤが飛んでいます。まだまだ気をつけてください。
北名古屋市にある みやもと耳鼻咽喉科の宮本です。
朗報です!!
多分・・・朗報です!
というのは
今年のスギ花粉のピークは、多分・・・過ぎてます。
明らかに過去2年より早くピーク(2月下旬)が来てますね。
と言っても天気が良いのでボチボチと飛散しています(3月下旬)ので、花粉対策は継続してください。
そして、スギ花粉の後には、ヒノキ花粉・カモガヤ花粉が続きます。
よく診察時に質問されますが、
Q.良くなったら薬をやめても良いですか?
Q.症状の軽い日は内服を減らしても良いですか?
A.花粉飛散以後ずっと刺激を受け続けているため、身体は反応しやすい状態にあります。
花粉の飛散状況・天気・体調・お薬の効果などにより、症状に波があると思います。
さて、本日の主題に入ります。
点鼻薬というとみなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
おそらく
「鼻づまりを早急に改善するために使うもの」
と認識されている方が多いのではないかと思います。
使ったことのある方は、
「1日に何度も使って、だんだん効きが悪くなっている」
「時々使ってるけど効果ないから使ってない」
と思われているのではないでしょうか。
診察で処方する点鼻薬は3種類あります。
①抗ヒスタミン薬の点鼻薬(私が医者になりたての頃は処方していました、今は・・・)
②ステロイド点鼻薬
③血管収縮剤の点鼻薬
当院では主として②ステロイド点鼻薬を処方しています。そして、あまり子供さんにはオススメしませんが、どうしても鼻づまりのつらい方に③血管収縮剤の点鼻薬を処方しています。
ステロイド点鼻薬の正しい使い方は、症状の強い時のみ時々点鼻するのではなく、薬剤により1日の点鼻回数が決まっていますので、定期的に毎日使用していただくと強い効果を発揮します。つまりステロイドは、即効性はそれほどありませんので、時々単発で使用しても適正な効果を得られず、効かない印象を持たれてしまうことになります。
③血管収縮剤の点鼻薬は、鼻づまりに即効性があります。正しく使用していただければ良い薬剤です。ただし、鼻づまりが強く効果が切れる度に、1日に何度も長期間使用し続けてしまうことがあります。そうするとだんだん効かなくなり、点鼻回数が増える悪循環に陥ってしまい、鼻粘膜が肥厚してしまう薬剤性の肥厚性鼻炎になってしまいます。くれぐれも使用回数・方法を気をつけてください。
ステロイドを怖いと思われるかもしれませんが、体に摂取されるステロイドの量は、
内服薬よりもとても少ないため、全身への副作用は少ないです。
もちろん、正しく使用して、お薬の利益を使って、快適に過ごしたいですね。
正しく知識を持って、正しく恐れていれば問題ないと考えます。
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